作業療法士とは、対象者の生活そのものを治療または訓練として活用する職業
今回は、私が仕事で活用している”作業療法士”に関して
『基礎作業学』という分野を参考に説明します。
参考書籍の詳細は末尾に記載しています。
作業療法士は国家資格
最初に「作業療法士」の法律的な立場になります。
理学療法士及び作業療法士法(外部リンク)
引用元:厚生労働省ホームページ
理学療法士及び作業療法士法(昭和四十年六月二十九日法律第百三十七号)(外部リンク)
引用元:厚生労働省ホームページ
2つのリンクにありますが、「作業療法士」は
【厚生労働大臣免許の国家資格】です。
リハビリテーションに関しては、こちらを御覧ください。
作業療法士は、生活を身体の構造や心の働きなどを分解して対象者に治療として働きかけることができる職業
作業療法士は、人が普段何気なく行っている生活を
- 手足の曲げ伸ばしや胴体の支え方など、身体の動かし方
- やる気や周囲への配慮など心の働き
など、様々な角度から分解・分析することで、対象者のリハビリテーションに働きかけることができます。
分解・分析は
- 食事・着替え・トイレなど、日常生活活動と呼ばれるもの
- 調理・買い物・交通機関利用など、手段的日常生活動作と呼ばれるもの
など、限りはありません。場合によっては「飛行機に乗る」という事も
- 空港までの移動方法
- 搭乗手続き
- 座席への移動
- 降りてからの移動
と、いうように目的によって分けていきます。
分け方や分析は「飛行機乗る」場面も、歩く人と車イスの人で違う点を分析するように対象者の「目的や状態」によって変化します。
対象者本人だけでなく家族や地域など環境にも働きかける
最近は少しずつ当たり前になってきていますが、対象者の住んでいる地域や働いている職場など、
周囲の環境に対しても必要に応じたリハビリテーションとしての働きかけも行っています。
考え方は、こちらで紹介した「ICF」に近い部分もありますが、
具体的な「治療」「リハビリテーション」として提案できるのは
作業療法士かもしれません。
日常生活はリハビリテーションとして活用できることがたくさん
リハビリテーションマネジメントが”多職種協働”となっている最たる部分と考えています。
- 肩の動きやすくする
- 指先の動きを滑らかにする
など、直接運動をする以外にも
- 被りもののシャツと前開きのシャツ
- 大きめのボタンやファスナーと小さなボタンやファスナー
- 高めと低めの物干し
- 洗濯ばさみの大きさ
など、色々な使い分けを行なうことで腕や指先の使い方が変化します。
色々な方法がありますが、作業療法士だけで対象者の生活を良くすることはできません。
普段の生活を支えているご家族や介護職員の皆さん、そしてご本人が普段何気なく行っている生活が「どんなリハビリテーションにつながっているのか」を気にしていただくだけでもリハビリテーションの効果は変わってきます。
スマホの普及やたくさんの便利な機器、サービスが普及している現代だからこそ「歯を食いしばる」リハビリから「少し頑張るを続けられる」リハビリを関わる人達全体で進めていくことが、『誰かだけが辛い思いをする』ことを減らす一つの切り口となります。
参考にしている書籍
標準作業療法学 専門分野 基礎作業学 第2版第1刷 2012年
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