介護現場で使われる【協力動作】という言葉には体を動かす為の機能や能力が沢山隠れている、言葉の宝箱
【協力動作あり】の一言で済ませずに利用者の出来る部分を見つけ、活用することが介助の軽減につながる
【協力動作】の有り・無しだけの評価で終わってしまうのは勿体ない
協力動作とは
リハビリや介護の場面で、支援や介助を行う際に対象者が協力して体を動かすことを指しています。
例えば、
- 介助者が着替えの援助をした時に袖通しの際に利用者が腕の曲げ伸ばしを行う。
- トイレで後始末や下着・ズボン等を上げている時間、立ち続けて腰を伸ばしている。
- ベッドから車イスに乗り移る際に介助者に掴まり体を前に傾ける。
等々。
介助に対して利用者が”場面に沿った”動きを行えると
【協力動作】有り。 と評価されます。
※ ※
協力動作は援助者目線の専門用語
上述したように【協力動作】の有無は”援助者又は介助者”側からの視点で評価・記録されています。
介護に慣れた家族は例外として、基本的に【協力動作】とは、
”サービス提供者”が使用する「専門用語」です。
協力動作を行う為に必要とされるもの
利用者が協力動作を行う為には体の様々な機能や能力を使います。
ざっくりとした機能や能力は以下の通りです。(かなり、ざっくり)
- 機能・・・体を動かす為に必要な力など
→ 腕・足の曲げ伸ばしや声かけが聞こえる聴力など
- 能力・・・様々な機能を複合して発揮する力
→ 言葉の意味を理解する(聞く聴力と言葉を理解する力の複合)
フラフラせずに立ち続ける(立つ力とバランスを保つ力の複合)など
これらの機能や能力を複数同時に発動して協力動作といわれる動きは行われています。
【協力動作】の極端な一例
先に挙げた例では、
「車イスへの乗り移り」で使われる能力や機能(一例)
- これから車イスに乗り移りの介助をされる事を認識する状況把握
- 介助者に掴まるための握力や腕の力
- 介助者の動きに合わせて体を前に傾ける重心をコントロールする力
- 体の向きを変える動きに合わせて両足を動かす力
など、上記以外にも一人一人状況により異なりますが様々な機能と能力を用いて、協力動作は行われています。
これらの機能や能力を”【協力動作】有り”の言葉で終わらせてしまうのは、
勿体ないことではないでしょうか?
これらの機能や能力が「あるかも」と感じたら、他の場面でも活用されていないか?もっと活用できる場面はないか?もしくは「この人こんな事出来るよ(ドヤァ)」と他の人に伝えたくなったりするのではないでしょうか。
もし、そうやって仕入れた情報を上手に扱うケアマネさんがいたら、とても介護しやすいケアプランを作ってもらえそうですね。
【協力動作】とは、裏返せば「共にできる活動」です。
介護者だけが頑張るものではなく、一緒に行なうことで発見できる能力もあります。
それらを見つけて新たに活用すれば、介護者の負担軽減や利用者の意欲向上につながる場合もあるかもしれません。
見つけることに頑張りすぎてしまわない程度に、周囲と意見交換をしながら目の前の利用者さんを見る角度を少し曲げて見てみてください。
以上、今回の”斜め”な目線からの一案でした。
読んで下さった方の”気持ち”が少しでも「軽く」なっていただければ幸いです。
※ いらすとや さんからイメージに近いものを使わせていただいています。
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