「ありがとう」の言葉以外で【やり甲斐】を見つける方法
介護の辛いと楽しいを見つめ直す時、対象者と一緒に行えることを見つけると気持ちは少し軽くなる
利用者が一人でできる生活の減少が介護・介助の量をますます増やしている
「介護職が辛い」と言われる理由、挙げればキリが無い
私が介護関連の仕事に就き始めた頃は、ちょうど介護保険が始まった頃で今ほど介護報酬は細かくありませんでしたし、施設が職員に対して介護福祉士の資格取得試験を積極的に薦めているような時期でした。
その頃は今ほど残業はなくて介護員さん達も比較的定時に近い時間に帰宅していました。徐々に介護員さん達と「仕事がキツクなってきてない?」なんて話しが多くなったのは何回目かの介護報酬改定後からだったと思います。
ここで法律に対して批判することは避けたいと思いますが、よくネットや様々な場面で見聞きする事が多いものとして以下のような事が殆どだと思います。
- サービス残業が多い。
- 利用者や家族の方に対応が難しいような要求をされる。
- 日勤、夜勤共に職員数が少なく休みが取れない。
- 賃金が安く設定されやすい
等々。
挙げれば本当にキリがありません。
少し前から「介護職は3Kもしくは下手すると4Kだよ」なんて言葉を耳にしたりネットなどで目にしたりします。
(ここでの”K”とは、いわゆる「キツイ」・「汚い」・「危険」・「給料低い」だそうです。新年度からは介護職員の給料を増やす事も国で審議されているようですが、賃金だけで解決するかは疑問です。)
それぞれの項目に排泄介護などに関しては、介護する側が「汚い」と感じる方がいる一方で、介護を受ける側の方は「恥ずかしい」思いを我慢している方がいることも事実です。
身体的な介助などで腰を痛めやすい事など「キツイ」や国会でも扱われているように「お給料が安い」、時として興奮して手を挙げてしまう認知症症状の方などの事も考えると「危険」というのも全てを否定できるものではありませんが、一つに纏めて表現することは介護職だけでなく対象者も貶めてしまいます。
辛い現状を改善する為には、
「何が辛いのか」 を分析する必要があります。
介護職関連の紹介では、「ありがとう」と言われる貴重な職種だとよく言われているが・・・
介護職関連のサイトや書籍などでは、
『「ありがとう」と直接言われる貴重な職種だよ』と
良く目にします。
実際、介護施設に勤めていて「ありがとう」を言われない日は一日もありません。
- 機能訓練を行えば「ありがとう」
- 食事の為のテーブルセッティングやその他の準備を介護員さん達と行えば「ありがとう」
- ナースコールで呼ばれて車イスに起こすのを手伝えば「ありがとう」
等、実に沢山の「ありがとう」の言葉をかけていただきます。
なかには、”認知症症状”などの影響により、心ない言葉をかけられたり時には私達が痛い思いをする事もありますが、とにかく私達介護職員が「ありがとう」と言われることは他のサービス業の方達に比べて圧倒的に多いです。
確かに、コンビニやスーパーで買い物をした後に店員さんに
「ありがとう」って言うお客さんは稀ね。
介護職種は「サービス業」に分類されている
他のサービス業、例えば最近「バイトテロ」などの言葉でニュースとなっている
”飲食業”や夜間帯の店員不足から時短営業を検討しているコンビニなどの
”販売業”でお客様が「ありがとう」と店員さん達に言葉をかける場面は、
なかなかありません。
(時には飲食店などで「ごちそうさま」と言葉をかける方も見かけますが)
日々の業務に追われて忘れてしまいがちですが、
私達は「介護技術」 という「サービス」を提供しています。
なんて事を書くと、「じゃあ、休憩もなく痛い思いをしてまで”ありがとう”を利用者に言わなきゃならないの!?」という、おしかりを受けそうです。
利用者=お客様。でも、お客様=神様ではない
私にとって利用者や御家族は”お客様”です。
しかし、”お客様”の要望を全て引き受けてしまうことは、介護サービスとして成立しません。時には「実現は見込めない」と代案を出さなくてはなりません。
「お金を払っているから偉い」というのは遙か昔のいわゆる「成金」感覚が酷くなったものです。
介護関連に就く以前の販売サービス業に関わっている頃から変わりません。
(別に大きな態度を取るとかでは、ありません。キチンと店舗・グループの言葉遣いを使用してました)
一流ホテルのコンシェルジュを目指して介護するのであれば話しは別ですが、利用者の長い人生の必要な部分を介護で援助・サポートしていく時に「何でも叶えてあげる」事は、
お互いにとってストレスを溜めてしまいます。
少し違う角度での【サービス】と【ホスピタリティ】に関した記事です。
よろしければ読んでみてください。
ケアプランのサービス内容を見直す。利用者が”共に出来ること”を見つけ、一緒に行っていくと介護のつらさが薄れて楽しみや励みにしやすい
国会で取り上げられた給料アップは上手く機能すれば本当に嬉しいです。
もう一つ、ケアプランのサービス内容が介護職員の「辛い」原因になっていないのかを見直す必要もあります。
利用者と介護サービス提供者の双方が実行可能なプランかどうか、双方に無理を強いるプランが結果として利用者に不利益を与えてしまっていないのか、は介護職に関わる人達の負担や「辛い」を減らす手段の一つです。
生活全ての援助ではなく、「共に出来ること」を見つけて支援していくことが介護に携わる人にとっての新しい歓びや活力になります。
ケアプラン作成の中心にいるケアマネさんとケアプラン作成に関しては、こちらを読んでみて下さい。
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