こんにちは。
今回は、介護場面の記録でも使われている。
【SOAP】を少し使いやすくする記事です。
よろしくお願いします。
介護記録をSOAPで分けて書くことが「難しい」と感じる方は
”見落としてる”かもしれない内容となります。
SOAPは職種によって捉え方(焦点)が変化する
SOAPとは
SOAP(ソープと読む)とは、
- S(Subject):主観的データ。対象者の訴えなど。
- O(Object):客観的データ。実際に起きたこと。
- A(Assessment):「S」と「O」からの評価。判断理由。
- P(Plan):次の対応や方針。
それぞれの頭文字から、「ソープ」と呼ばれています。
元々は、看護記録の一つで『問題指向形診療録』の一つです。
(私は学生の頃に精神科領域の作業療法治療学で授業を受けました)
情報をまとめやすいこと、課題が明確になりやすいことがメリットと言われています。
「客観的」って表現が面倒くさいんだよね。
「機嫌がいい」って記録に書くと「何を根拠に書いてるの?」って
そこが、介護記録でSOAPを取り扱うデメリットです。
その理由を改めて調べましょう。
リハビリや看護のSOAPと介護のSOAPの違い
看護記録のSOAPは、病状や症状ごとに書くことが多い
病院をはじめ看護職の場合は、「症状」ごとに処置したことなどを記載することが多いため、
記録するときの情報も簡潔になりやすいです。
例)少し極端な例です。
- コール対応で訪室 22:30
- S・・・苦痛の表情で「踵の傷が痛い」と訴えている
- O・・・踵の褥瘡部分ガーゼが外れて血が滲んでいる
- A・・・再度、消毒してガーゼを貼り直す必要がある
- P・・・消毒処置とガーゼ保護をする
リハビリは、訓練項目ごとが多い
私達、作業療法士や理学療法士、言語聴覚士の人たちも施設や事業所で様々な様式はありますが、SOAPの代表的な使い方としては、訓練ごとに記載することが多いかと思います。
例)こちらも少し極端な例です。内容の細かな整合性に関しては、お見逃しください。
対象者の了承を得て以下の訓練を実施 10:30~10:55
- ①右膝関節他動運動、②右下肢筋力強化、③起立訓練
- S・・・①他動運動で膝屈曲75度周辺で苦痛表情がある。
数回の関節運動後は緩和した表情が見られる。
②③特に訴えや表情変化見られず。 - O・・・①膝屈曲での苦痛表情時に膝周辺の筋に強張りを認める。
数回の関節運動後は強張りが緩和している。 - A・・・訓練時以外での関節運動を自主訓練として導入が必要か。
- P・・・医師・本人と協議し、体調に問題なければ自主訓練を導入する
介護は、関わった一連の場面ごと記載することが多い
もちろん全ての介護現場で同じわけではありませんが介護での記録の多くは、
『関わった場面や状況全体を通して』記載することがあります。
必然的に記載する内容が多くなるため、主観情報と客観情報を分けて書く量が膨大になります。
?、関わった事を正確に書くのが記録なんだから、書く量が多くなるのは当然じゃないか!
関わったことを正確に記載することと、記録をすることは別物と考えてください。
極端な言い方ですが、「複数の人が同じように受け止める”事実”」は客観的、
「見た人だけが”思った”」ことが主観的と言えるかと思います。
例えば、対象者が質問に答えた時に「笑顔」であった。と書かれている時に
「笑顔」というのは、書き手の主観です。
大概の場合、「にこやかに」・「笑顔で」など、状況を”形容”しているものは記録者の主観となります。
書き手の主観全てを「書いていけない」と言うのではなく、
書き手がご自分の主観を受け止めていれば書き方も変化します。
詳しくは、こちらの記事を読んでみてください。
正確な情報をまとめやすくするためには、「見たまま」記録から『観察記録』に変えていく
観察を意識し、目的を持った記録にすることで書く量は減らしていけます。
文章量を減らすために必要なこと
関連記事にも記載していますが、観察をメインとした記録を書くためには必要なことがあります。
事前の情報収集
対象者と直接お会いする前にも手に入れることができる情報は沢山あります。
- 対象者の氏名や性別、年齢などの一般的な情報。
- 病気や介護保険を利用する経緯など。
- 施設や事業所に対する希望。または、望んでいる生活。
- 要介護度や日常生活で困っていることや介護を望んでいること。
ケアマネージャーや相談員の役職に就いている方は、情報が少ないかもしれませんが
手に入る情報と不足している情報を仕分けすることはできます。
そうすることで『今後、見定める必要がある情報』に的を絞ることができます。
情報の仕分け後は観察の出番
これから手に入れるべき情報を絞り込んでしまえば、今度は観察が効果を発揮します。
目的を持って観察したことは、看護記録やリハビリの記録のように簡潔書くことができるようになります。
例)
- 活動後のお茶飲みの様子 14:55
- 普段、活動後のお茶飲みに30分と時間がかかっているため、お茶を冷まして提供した。
- 活動参加の様子は、特に変化見られていない。
- S:「今日のお茶、どうですか?」の問に『丁度良く飲めるよ』と返事があった。
- O:冷ましたお茶では、10分程度で飲み終わった。
- A:提供する飲食物の温度をチェックしてはどうか。
- P:食事と水分補給の時に食べ物や飲み物の温度に焦点を当てて様子を観る。
ちょっと、強引な例ですが実際に関わった場面から全てを書いていたら、おそらくは活動の参加している様子や会話からお部屋に戻られるまでを「5W・1H」に照らして書いていることが多いのでは無いでしょうか?
記録の書き方に『正解』というものは、無いと考えています。
しかし、極力”書く手間”を減らしながら、多くの情報をまとめていくためには、【観察スキル】の活用は非常に有効だと思います。
まとめ
一日の情報量が膨大な”介護記録”を簡潔に書くためには【観察スキル】が有効。
書いている時間=業務時間 を少しずつ減らせば気持ちにも余裕が出てくる。
おまけ
観察スキルのレベルアップに関する記事も書いています。
お時間をいただける時に読んでみてください。
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