介護は起きている時だけのものではない
代表的な寝ている時に行う介護
体位変換
寝返りが出来ない人の為に体の向きを変える介助を行う。
同じ向きだけで寝ていると褥瘡(床ずれ)が出来てしまう為、重要な介護。
体位変換用の枕(体交枕)を使用していると腰が捻れていないかなどのチェック項目があり、以外と手間がかかる。
オムツ交換
トイレで排泄できない人に夜中だけオムツを使用する場合もある。
体位変換と同じように汚れたり濡れたままの状態は皮膚に悪影響を与える為にこちらも重要。個室以外だと他の利用者が起きてしまうことがないように配慮しながら、該当の利用者に声かけなど多重の配慮が必要でこちらも大変。
眠る前に一手間加える介護
寝る前のシーツや衣服の皺は想像以上に安眠を妨げる
シーツ交換を行った直後には、皺無く綺麗に”ピン”となっている状態。その後就寝までの間に何回か横になったり起きたりを繰り返していると徐々にシーツの体重が集中するところに小さな皺が出来てきます。
同じように就寝の為に横になった時にも衣服などに皺が出来てしまいます。
これらの小さな皺は私達が普段寝る時にも出来ますが、私達は無意識に体を動かしたり着ているものの裾を引っ張ったりして皺を伸ばしています。
私達は小さな皺でも寝ている時に安眠を妨げることを無意識に気にしているのです。
※ いらすとや さんより借用
介護が必要な方は特に寝返りが少なく自力で皺を取りにくい
一般に年齢を重ねるほどに寝返りの回数は減っていきます。介護が必要となっている方は更に寝返りは減ります。だからこそ、最初に上げたような体位変換などの介護が必要となります。
寝ている時にだけ唸り声を出してしまうような利用者がいたら、もしかしたら背中や腰の辺りに不快を感じさせる皺や腰の捻れなどがあるのかもしれません。
背抜きはギャッジアップの時だけの限定品ではない
座ることが難しい利用者に食事を提供する時などに行うことが多い「ギャッジアップ」(ベッドの背もたれを起こす事。最近の電動ベッドは足下と連動して起こす機能が付いている)
この「ギャッジアップ」を行う時に背中や腰に集中する体重や擦れの圧を解消することを”背抜き”と言いますが、”背抜き”は他にも使える場面があります。
ギャッジアップの反対でベッドの頭部を下げる「ギャッジダウン」の時も”背抜き”が必要です。
そして、寝る為にベッドに横になった時にも”背抜き”は有効です。
背抜きや皺取りが有効な要介護者
特に有効なのは、寝返りを行う時に介助を必要とする重度の方です。このような方は背中の圧力や皺の解消を自力で行うことが難しいです。
また、寝返りに介助を必要とする方の多くは体が硬く(拘縮に)なり易い人や皮膚に赤みが出やすいような人が多い為、長い目で見れば状態の悪化を防ぐ為にも有効です。
寝具や衣類の皺を除いて安眠を促すことも重要な介護
私達介護する側の安眠と同様に要介護者の安眠も重要な課題
良質な睡眠の重要性に関しては様々なテレビ番組等でも取り上げられています。介護現場に関しても昼夜逆転や浅眠などで日中の活動量が減少したり、酷い場合には低血圧になってしまう利用者もいます。
「良眠している」とだけ書かれている記録の見方が変わってしまいそうです。
しかし、利用者全員に対して少ない夜勤者だけで一手前を加え続けてしまったら、それだけで夜が明けてしまいそうです。実際に皺取りなどを試す時には、睡眠状態や日中元気が無い人などを選出して優先順位を付けて日替わりで試す方が実践する側の負担も少なくなります。
無か全、0か100のような極端な方法ではなく最初は一人か二人で1週間試す形でも良いかと思います。
介護業務の負担軽減に関する”斜目線(ななめせん)”はこちらをご覧下さい。
以上、今回は睡眠に対する”斜め”な目線の一案でした。
介護に対する”気持ち”が少しでも「軽く」なっていただければ幸いです。
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