【ケアアセスメント】の項目間と自立度の行間を結んで、つながりのある日常生活像を映し出すことがより質の高いケアプランにつながることもある
【ケアアセスメント】が「ケアプラン」の出来を左右する
アセスメントとは
客観的に「評価する」「査定する」などの意味で、「環境アセスメント」などのように「○○アセスメント」として用いられています。
ケアアセスメントとは
介護保険利用で必要な「ケアプラン」を作成するために”生活の課題”を「調査」し「課題抽出」する時に用いられています。
この【ケアアセスメント】がしっかり行われていないと場合によっては見当違いの「ケアプラン」ができてしまいます。
「ケアプラン」が利用者側だけでなく介護職員にも多大な影響を与えることを以前に記事にさせていただきました。
今回は、根本となる【ケアアセスメント】に関しての”斜め”な一案になります。
【ケアアセスメント】のそれぞれの項目での評価を”日常”の生活の流れに結びつけるのは大変な作業
ケアアセスメントでの評価は殆どがチェック項目で簡単になっている
【ケアアセスメント】に限らず介護認定調査など、介護に関する評価ツールは各項目ごとに段階付で分けられています。
- 食事
- 排泄
- 更衣
- 整容
- 入浴
等など。
同じように介護の度合いも
- 自立
- 見守り
- 一部介助
- 全介助
など、表としてみれば生活のどの部分で介助が必要かがわかりやすくなっています。
簡略化したことで手にれた利便性が生活を見えにくくしている
なぜ、簡略化し見えやすくしたはずのツールが生活を見えにくくしているのか。
それは、各評価の項目には
- 『どのように』
- 『どれ位の時間で』
行っているのかチェックがない事が理由の一つとしてあります。
なかには、「そのための備考欄や特記事項の欄がある!!!」と思われる方もいらっしゃると思います。
確かに、備考欄や特記事項の欄に書き込む事で一覧では見えない部分を補うことは多少はできます。
しかし、ここでいう「生活」とは、私達も含めその利用者の方が朝起きてから
- どのようにして一日を開始し、
- 朝食を摂り午前中を過ごし、
- 昼食や夕食を誰と食べて
- いつ頃に寝床に入るのか
といった一日の流れが一連の行為として表されていないことが利用者の方の生活を部分部分で切り離してしまい、利用者の方の生活を介護を必要とする項目のみに着眼され易くしてしまっています。
例えば、です。
皆さんが朝、起きてはじめに行なうことはなんでしょうか?
私は必ず流水で顔を洗います。
人によっては、トイレに行く人もいればお水を飲む人、うがいや口をすすぐことを一番にする人、コーヒーのマシンにスイッチを入れる人など、
朝の行動を順番にするだけでも沢山出てきてしまいます。
こんなことを書いているのは、アセスメントで詳しく評価せずに「ケアプラン」を作成していくと一日と週間のスケジュールを作っていることや場面場面の介助項目ばかりのプランで一日の業務量が膨大になっている「ケアプラン」に関わったことが発端でした。
自分たちの生活では、朝の目覚めから夜寝床に入るまでを自由にデザインしているのに、いざ「ケアプラン」作成のために【ケアアセスメント】を行なうとなると、機械的に評価を行い、表面的に希望に沿った「歩行訓練」などを記載するだけのプランになると残念な気持ちになってしまいます。
「生活」をつなげた上で介護の優先順位をつけていく
利用者さん一人ひとり、そのご家族の方も皆それぞれの生活スタイルやパターン、ルーティンなどがあります。
入所系・居宅系のどちらにおいても、全てに応えることはおそらく不可能です。
しかし、”その人らしさ”や”QOL”(生活の質の向上)を目指すのならば、「集団生活だからしょうがない」という言葉だけで済ましてよい訳では無い筈です。
一度、利用者の生活をしっかりと把握し、「どのような」介護を受けながらの生活を望んでいるのか希望を踏まえた上で、それぞれの施設・事業所で対応が可能なことと不可能なことを選別し、利用者やご家族の方に説明することがお互いの意思を確認するためにも必要です。
生活を見通した【アセスメント】と「ケアプラン」は業務負担も減らせるかも
機械的な介護業務から個別主体の「ケアプラン」が増えることは一見すると、業務負担が増えてしまいそうに見えます。
しかし、不必要の方に起き上がり介助をしたりオムツ交換をしている状態よりも、それぞれの利用者にピンポイントで必要な介護を行なうように一人ひとりの「ケアプラン」作成を工夫して提供することのほうが場合によっては、
現場で働く人達に余計な業務負担をかけないことにつながることもあります。
さいごに
介護保険サービスでは、”離職率の高さ”や”人手不足”、”低賃金”などが切迫した問題となっています。
それぞれの施設・事業所で様々な工夫や対策を実行していますが、好転している施設・事業所は殆どありません。
そんな中で、場合によっては一手間かかってしまいますが、
少しでも業務負担を減らすための一工夫に関する一案でした。
読んでくださった方の”介護”に関する”気持ち”が少しでも「軽く」なっていただければ幸いです。
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